1年間固定のレートを支払う銀行口座は、ひとつの約束をしています。DeFi の大部分は、そのような約束をしません。レートはブロックごとに動きます。借りたい人がどれだけいるか、トレーダーがどれだけ支払うか、市場がどう価格付けされているかといった、動き続ける活動から生まれるからです。それが変動利回りであり、画面上の数字よりも、それがどこから来るのかを知ることのほうが重要です。
DeFi の利回りの源泉
- 借り手。マネーマーケットでは、貸し手は借り手が支払う利払いを受け取ります。借り入れの需要が高まればレートは上がり、下がればレートも下がります。
- トレーディング活動。流動性プールは、スワップ手数料の一部を流動性の提供者に支払います。その額は取引量に左右されます。
- 市場での支払い。ヘッジされたデルタニュートラルなポジションは、無期限先物のファンディングレートのような、トレーダー間の支払いから収益を得ることがあります。この支払いはマイナスになることもあります。
- 現実世界のレート。国債を保有するトークンは、中央銀行が決める水準に沿った利払いを保有者に引き渡します。
- インセンティブ。一部のプロトコルは、自らのトークンでリワードを支払います。これは収益ではなくマーケティング費用であり、通常はいずれ終わります。
利回りがこれらのどれにも、あるいは明確に説明された組み合わせにもたどれないなら、その理由を問いましょう。利回り付きドルトークンが保有者に届けるリターンが変動するのは、まさにこのためです。リターンは、その源泉に連動するのです。
APY と APR の違い
APR は単純な年率です。APY は複利、つまり過去の収益にさらに収益が生まれる効果を含みます。同じ基礎レートであれば APY のほうが大きな数字になり、複利の頻度が高いほどその差は広がります。変動利回りの場合、どちらもスナップショットにすぎません。今日のレートが変わらないものとして先に引き延ばした数字ですが、実際には変わります。その時点の数字よりも、7日間や30日間の平均のほうが多くを教えてくれます。
シンプルな例
あるレンディング市場が、借り入れ需要が強い間、1,000ドルのポジションに年約50ドルのペースで支払っているとします。1か月後に需要が落ちると、同じポジションの収益は年30ドルのペースになります。何かが壊れたわけではありません。利回りがその源泉に連動しただけです。では、その何倍ものペースをうたいながら、お金がどこから来るのかを説明しないトークンを想像してください。この2つのケースを見分けることこそ、まず確認すべきことです。
変動と固定
DeFi にも固定レートのポジションは存在し、多くの場合利回りトークン化によって作られます。これは、割引された元本トークンを購入することで、買い手がレートを確定できる仕組みです。それでも、その固定レートは将来の変動利回りに付けられた市場価格であり、原資産のリスクは引き続き抱えています。
リスクと限界
変動利回りはゼロまで下がることがあり、戦略によってはコスト控除後にマイナスになることもあります。高い利回りは、たとえそのリスクが目立たなくても、通常はより高いリスクの対価です。過去のレートは将来のレートを予測しません。そして利回りはリターンの一部にすぎません。原資産の価値の変化、手数料、スマートコントラクトのリスクも、すべて影響します。変動とは文字どおりの意味です。つまり、保証されるものではありません。
Tori Finance での使われ方
Tori Finance の ERC-4626 ボールトトークンである strUSD は、グローバル市場から収益を得るデルタニュートラル戦略の変動利回りを積み上げており、ポジションは米ドルにヘッジされています。利回りは市場環境に応じて変化し、保証されるものではありません。
よくある質問
DeFi の利回りはどこから来るのですか?
実際の活動からです。借り手が支払う利払い、トレーダーが支払う手数料や市場での支払い、国債の利払い、あるいは一時的なトークンリワードなどがあります。持続可能な利回りは、これらのいずれかにたどることができます。
固定レートと変動レートの違いは何ですか?
固定レートは、決められた期間についてあらかじめ合意されたレートです。変動レートは市場環境に連動し、いつでも上がったり下がったりします。DeFi のレートの多くは変動で、固定レートは通常、変動レートの上に組み立てられています。
うますぎる利回りかどうかは、どう見分ければよいですか?
その利回りがどこから来るのかを、ひと言で説明してもらいましょう。答えがあいまいな場合、利回りの大部分がそのプロトコル自身のトークンで支払われている場合、同じ時期にほかのレンディングやトレーディングが支払っている水準を大きく上回っている場合は、注意が必要です。
関連用語
利回り付きドルトークン
利回り付きドルトークンとは、裏側にある戦略のリターンを保有者に届けるドル建てトークンで、多くの場合、時間とともに1トークンあたりの価値が増えていきます。リターンの源泉は国債、レンディング、トレーディング戦略などで、その利回りは変動します。
ファンディングレート
ファンディングレートとは、無期限先物契約のロングとショートの保有者の間で一定間隔ごとに行われる支払いで、契約の価格を現物価格の近くに保つ役割を果たします。レートがプラスのときはロングがショートに支払い、マイナスのときはショートがロングに支払います。
マネーマーケット
伝統的な金融でマネーマーケットといえば、短期の資金が貸し借りされる市場のことです。DeFi では通常、ユーザーが資産を供給して利回りを得て、ほかのユーザーが担保を元に借り入れをするレンディングプロトコルを指し、そのレートは需要と供給に応じて動きます。
利回りトークン化
利回りトークン化とは、利回りを生むトークンを2つに分けることです。決められた満期に原資産と交換できる元本トークンと、それまでの変動利回りを受け取る利回りトークンです。この2つを取引することで、一方の参加者は固定レートを確定でき、もう一方は将来の利回りを引き受けることができます。
出典
- Investopedia: Annual percentage yield (APY)www.investopedia.com
- Morpho Docs: Variable rate marketdocs.morpho.org
- BIS Bulletin: DeFi lending, intermediation without information?www.bis.org
Tori Finance チームが執筆しました。投資助言ではありません。利回りは変動し、元本を失うおそれがあります。